
- 面白いSFが読みたい
- 人間の本質を学びたい
- 人の動かし方を知りたい

ゼロ年代SFベスト・映画化・アニメ化もされた『虐殺器官』は、人の本質を知ることができる最高のSF小説です
- SFの「こんな未来が来るかもしれない」を強烈に感じる
- 描写がリアルで現実味がすごい
- 物語で人の本質を学べる
はじめまして。普段はメーカーで機械設計をしているベルと申します
この記事は、人の本質に迫るゼロ年代SFベスト『虐殺器官』の書評になります

核がコントロールできたなら、管理社会ができたら、という話の説得力がすごいです
この記事は、私の実体験も織り交ぜて書いてます
本の内容と違う解釈があることは、ご了承ください
このため、この記事を読んだ後は、ご自身で本を読むことをオススメします
この記事が、皆さんの悩みを解決する一助になれば幸いです
地獄はここにある。頭のなかに。苦痛すら必要ない。
虐殺器官
人の本質を理解させられる

『虐殺器官』は、人が動く本質的な理由を教えてくれます
理由は、次の3つを痛感するため
- 人の判断は遺伝子レベルで決まっている
- 人類は所詮動物
- テクノロジーの進化に人は追いつけない
順番に解説していきます
人の判断は遺伝子レベルで決まっている

時代が進んでも、人が争うという判断をする原因は、遺伝子レベルで決まっていると感じます
例えば本著では、人の身体にチップが埋め込まれ、チップで認証しなければ、あらゆる生活が成り立ちません
そのチップで人類の行動を監視できても、テロや戦争が起きる流れが、この上なくリアルに描かれています
機械や道具がどれだけ進化しても、人は遺伝子レベルで争いを起こしてしまうのだと、実感します
人類は所詮動物

人類は所詮動物だと、『虐殺器官』は教えてくれます
理由は、石器時代から、人の判断は本能によるものだから
例えば、スマホやPCと言った情報端末が発展した現代でも、戦争は存在します
戦争も、人の本能による判断で決まるのであれば、どれだけ技術が進歩しても、人が動物であることを思い知らされます
テクノロジーの進化に人は追いつけない

テクノロジーの進化に、人は対応できません

これは『スマホ脳』で書かれている通り、現時点で、人がスマホに振り回されていることから、改めて再認識しました
石器時代から人の脳は同じですが、テクノロジーは人の考えを超えた力を発揮します
ゆえに、進化したテクノロジーに振り回されないよう、取り扱いに注意する必要があるのは、現代でも起こっていることです
『虐殺器官』では、テクノロジーが進化しても、人の考えや行動の本質は、結局変わらないことが描かれています
ごくごく普通の人々は認証を通りすぎるたびに自分がより安全な場所へと近づいているような感覚を日々体験しているはずだ。
もちろん、それは妄想にすぎない。それら一つ一つは通過点でしかなく、どんなに認証を通過したとて、その子魚津自体はある場所からある場所への移動にすぎない。それでもほとんどの人は不平不満を言うこともなく、日々認証の森を通過し続ける。
この認証の果てに、無限に安全な場所があるとでもいうように。
虐殺器官
比喩表現も秀逸で読んでいて楽しい

小説としても面白く、比喩表現も秀逸で、読書の楽しさも味わえます
本作に限らず、SF大賞など続々獲得するほどの力がある作者
そのため、小説としても楽しめます
ポッドのハッチが音もなくなめらかにスライドし、外界との接点を完全に封じた瞬間、内外の気圧を調節するドスッというくぐもった音が響いた。世界から音が消え、闇に閉ざされる。葬られるというのは、こういうことなのだろうか。
虐殺器官
まとめ:人の本質を知るベストSF

『虐殺器官』は、人の本質を知ることができる、SFとしても最高傑作本

もう二度と、この作者の新作を読めないのが残念でならない…
世界レベルでベストセラー『三体』並みに面白いSFを、もしかしたら書けたかもしれないのに…
『虐殺器官』を読んだら、「本当にこんな未来が起こり得る」とどうしようもなく思わされる怖さとワクワク感を味わえます
「最高のSFを読んでみたい」という方は、『虐殺器官』を読んでみてはいかがでしょうか
人間の自由とは、危険を回避する能力のことでもある。さまざまなリスクを考慮して、自分にとって最適なモノを「選ぶ」能力が「自由」なのだ。
虐殺器官

『NEXUS』という本を併せて読むと、『虐殺器官』の背景を知ることができて、より楽しめます