
- 『三体』が面白そうだけど、実際どう?
- 『三体』がたくさん発売されているけど、どれから読めばいい?
- 途中まで読んだけど半分も行かず断念してしまった

世界的に大ヒットした超傑作SF小説『三体』は、あなたを完全に別世界へと引きずり込みます
- 個人的にいちばん面白い最高傑作SF
- 『三体』→『三体Ⅱ黒暗森林』上下→『三体Ⅲ死神永生』上下がメインストーリー
外伝の『三体0球状閃電』、三体Ⅲの裏の話『三体X 観想之宙』も読めば、壮大な世界観にさらに沼ります - 『三体』はどの本も半分読み切ったくらいから強烈に面白くなるんで、頑張って読むことをオススメします
はじめまして。普段はメーカーで機械設計をしているベルと申します
この記事は、世界中の人をSF沼に引きずり込んだ、中国発の超傑作SF小説『三体』の書評になります

シンプルながら意味がわからないタイトルからは、想像もつかないほど深く、面白いSFです
科学の話が苦手な方は、理論の説明を読むのは難しいかもしれません
が、理論説明を飛ばしても、話そのものが面白いため、楽しめます
この記事は、私個人の要約・書評になります
作者の意図と異なる解釈があることは、ご了承ください
そのため、この記事を読んだ後は、ご自身で本を読むことをオススメします
文明に歳月を与えるより、歳月に文明を与えよ
三体Ⅱ暗黒森林 下
『三体』は超大作かつ傑作SF小説
『三体』は、超大作かつ超傑作なSF小説で、読む人を世界観に引きずり込みます
理由は、次の3つ
- 恐ろしくリアル
- 本編3部作すべてが面白い
- 圧倒的売上と受賞数
順番に解説していきます
なんでもない。夢を見ていただけ。いまやっと目が覚めたところ
三体
恐ろしくリアル

本当に起こる可能性があった、もうひとつの未来に感じるレベルでリアルな内容
というのも、文化大革命という、実際にあった歴史的事件から物語が始まり、後の展開とのつながりが異常にしっかりしているため

事前に文化大革命について調べておくと、物語の深みが増して、より一層楽しめます
さらに、心理学の知識もあるとしか思えないほど、登場人物の行動に感情移入しやすく、納得できます
SF本来の、強力な「本当にこんな未来が来るかもしれない」感
さらに、「登場人物がこう動く以外ありえない」という物語の説得力が強すぎて、地球で起こり得た、もう一つの未来の話のようなリアリティがあります

SFなので、内容はリアリティを出すのがメジャーです
が、あまりにもリアルで、現実と仮定の境界線がわからなくなってくるほど
歴史のあらゆる瞬間に、無数の失われた機会を見出すことができる
三体Ⅲ 死神永生 下
本編3部作すべてが面白い

本編3部作の、上下巻それぞれすべてが面白いという、恐ろしい文章力を体感可能
1冊800ページ近くの小説が、数冊も続くと、どれかは「ここはイマイチだったな…」となるのは当たり前のことと考えていました

面白いと絶賛されている本でも、この現象は常にありました
が、『三体』は3部作の、さらに上下巻それぞれのすべてが、めちゃくちゃ面白い
作者である”劉慈欣(りゅう じきん)”氏の、小説の力に飲み込まれる感覚を味わえます
過去は一握の砂のようなもので、しっかりと握っていたつもりでも、指の隙間からいつのまにかこぼれ落ちてしまっているのだった。記憶ははるか昔に涸れた川で、生命のない川床に小石が散らばるだけ。彼の人生は、ツキノワグマが畑でトウモロコシを一本とって脇にはさむたび、その前にとった一本を落としてしまうように、なにか手にいれるたびにべつのなにかを失くしていって、最後にはいくらも残っていないのだった。
三体Ⅱ 暗黒森林 下
圧倒的売上と受賞数

『三体』は全シリーズで、世界のSF大賞を取りまくっています
具体的には、次の通り
- 全世界累計発行部数が2900万部突破(2019年)、日本国内発行部数も累計100万部突破(2024年)
- アジア人初のヒューゴー賞(世界SF大会SF文学賞)、星雲賞(日本SF文学賞)
- 中国国内・Netflixでもドラマ化

過去、これだけ売れたSF小説は、他にないと思われます
中国発作品なので、中国国内が売上の大半を占めている…
かと思いきや、日本だけで100万部も売れていること
さらに、20か国語以上で翻訳されていることから、世界的に売れていると推測できます
未発表の各国SF文学賞もいくつか受賞しているならば、『三体』は史上最多クラスに文学賞を取った作品かもしれません
これは人類の終末決戦だ。したがって、おれが求める数字は、まったくもって多くはない。とはいえ、きょうのこの結果は予想していたとおりだ。それでもやはり、おれは必死に働いて爆弾をつくる。できるだけ多くの爆弾をつくる。けんめいに働いて、働いて、働きつづける
三体Ⅱ暗黒森林 下
科学理論がしっかりしすぎて逆に理解できない

面白さの一つである、SF理論の作りこみが本格的すぎて、理解が追いつかない場面が多々あります

気になるところは、ググりながら読めば理解できます
例えば、ひも理論や次元の話など、背景知識が少ないと、読むのに苦労する印象を受けました
ググりながら理論を理解できれば、『三体』をさらに楽しめます
が、本筋の物語だけでも面白いので、気になったことは後で調べる読み方でも楽しめます
自然は、ほんとうに自然なのだろうか?
三体Ⅲ 死神永生 上
まとめ:『三体』はSFの常識になる

『三体』は、もはやSF好きならば必修になるほど、緻密で深く、なにより面白いSF小説です
- 歴史・科学・社会学・心理学と広い分野で、すべてが恐ろしくリアルでほぼあり得たもう一つの未来
- 『三体』→『三体Ⅱ黒暗森林』上下→『三体Ⅲ死神永生』上下のすべてが面白い圧倒的文章力
- 売上と本の受賞数の多さが、面白さを保証してくれる

どれだけ初歩的なことでも、科学の勉強をしている方には、最高に面白いSFになります
わたしも基本情報技術者の勉強をしていますが、その中で学んだ要素すらも出てきて、「あの話はこれとつながるのか」と感心させられます
SF理論のすばらしさはもちろん、社会学や歴史についても詳しいことが伝わってくるほど、物語の深みを感じました
間違いなく歴史に名を残す超傑作SF小説『三体』を読むことで、世界観・文章力・構成力に圧倒されてみてはいかがでしょうか

中国発の訳書は初めて読みましたが、翻訳も違和感なく、あとがきからも訳者の情熱が感じられて感動します
あとがきは、作者・訳者のかっこよさにしびれるのも、本書の魅力の一つです
科学技術が急速に発展している現代、SFの想像力は追いつけていないのではないかという問いに劉はこう答えた。
「見えているのは技術の変化にすぎない。その奥底にある科学の原理は解明の途上にある。新たな原理が世界観に変革を強いるときにこそ、SFの出番だ」
三体Ⅲ 死神永生 下