
- 会社の根深い問題を解決したい
- 問題解決の正しい手順を知りたい
- 問題の本質の見つけ方を知りたい

『イシューからはじめよ』は、マッキンゼー・脳科学者・ヤフーと、どエリートな著書の思考をもらい受けることができる、全ビジネスマンの聖書
- 価値のある問題をまず見つけることが至上命題
- 問題を見極めることで仕事も100分の1に減る
- 完成度は60%にとどめて早く出す
はじめまして。普段はメーカーで機械設計をしているベルと申します
この記事は、ビジネスマンが本当に考えなければならないことを知ることができる本『イシューから始めよ[改訂版]』の書評になります

改訂版である本著では、MECEなどのフレームワークの紹介が追加
ただ、あくまでも本書は問題解決の”方法”ではなく”考え方”について学ぶ本
この記事は、私個人の要約・書評になります
作者の意図と異なる解釈があることは、ご了承ください
そのため、この記事を読んだ後は、ご自身で本を読むことをオススメします
「圧倒的に生産性の高い人」にひとつ共通していることがある。それは、彼らが「ひとつのことをやるスピードが10倍、20倍と速いわけではない」ということだ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
一番最初にイシューを見極める

一番最初に、あらゆる仕事のゴールとなる、イシューを全力で明らかにします

イシューとは、知的生産活動のゴールとなる、未解決問題のこと
特に、二つ以上の事象の間で発生している問題
価値のある仕事を成し遂げるには、イシューの選定がもっとも重要です
イシューを見極める必要がある理由は、次の3つ
- イシューが低品質だと、アウトプットはゼロになる
- イシューを見極めれば、無駄が消える
- 正しいイシューは、成長を早める
順番に解説していきます
イシューが低品質だと、アウトプットはゼロになる

イシューの質も高く、かつ解の質も高いものでなければ、真に価値のあるアウトプットにはならない
イシューを見極める理由のひとつが、アウトプットの成果にかかわるため

例えば、解く意味がない問題に対して、どれだけ仕事しても、何の成果にもつながりません
現状で、答えを出す必要性が高い、高品質なイシューであれば、それだけで意味を持ちます
例えば、あるイシューを解いた結果、ほしい答えではなかったとしても、別の真のイシューを発見できるなど、意味のあるアウトプットにつながる確率が高いです
イシューを見極めるだけで、価値のある仕事につなげることができます

ここで言う”価値のある仕事”は、少ない時間と労力で、多くの成果出すこと
いわゆる生産性のことです
世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
イシューを見極めれば、無駄が消える

たとえ入社1年目でも、イシューの見極めで、いまの仕事量の90%は減らせます
理由は、新人の目利き力でも全体の10%ほどの問題に絞り込めると考えられるため
例えば、問題が100個のうち、今、本当に解く必要のある問題はせいぜい2,3個
さらに、その2,3個のうち、現段階で答えを出せる”イシュー”となる問題は、おおよそ半数なので、全体の約1%
ここで経験が浅く、イシューの目利きができないと考えても、全体の10%程に絞り込むことができると考えると、仕事量が90%減るとみなせます

イシューの見極めがまったくできないのであれば、上司に聞くのが有効です
あなたが問題と思ったものの内、「何に取り組むべきか精査してもらえないか」聞いてみましょう
それができるから”上司”です
やや極端なたとえですが、イシューの見極めを重視することで、無駄な仕事を減らすことができるのは明らかです

さらに、イシューが低品質だと、グループで解決するときに必ず混乱が発生します
目的意識がブレ、人も時間も発散するため、グループで解決する問題こそ、よりよいイシューの見極めに時間を使いましょう
そうすることで、集団で問題解決する利を最大限発揮できます
「今、本当に答えを出すべき問題であり、かつ答えを出せる問題=イシュー」は、僕らが問題だと思う対象全体の1%ほどに過ぎない。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
イシューの見極めには仮説の言語化が効く

具体的な仮説を言葉にして、スタンスを取ることが、イシューを見極める秘訣

検討開始段階であっても、強引に作ること
「やってみないとわからない」というのはNGで、ここは強行突破が必要です
ただし、具体的な仮説でなければ、「答えが出せない」・「やるべきことがわかりにくい」・「分析結果の見方が定まらない」と3重苦になります
理由は、いきなり「イシューはなにか?」を考えても、答えを出せないので”イシュー”とならないため
例えば、次の二つの問題のうち、どちらに答えを出せそうでしょうか
- 新しい設計基準のもとでは、いままで利益を生んでいた構造がとれなくなり、利益が下がるのでは?
- 新しい設計基準のもとで発生しそうな問題は何だろう?
前者の方が、答えられそう・やるべきことも可視化できそうで、イシューとなる問いか見極めやすいです
イシューの見極めを正しくするためにも、仮説が思い浮かんだら、「どこを目指し、何をどうするか」主語と動詞を入れて言語化していきましょう

作った仮説に対するイシューの見極めには、相談する相手を持つことも重要
ベテランや、その課題に精通している方に相談できれば最高です
どうしてもイシューが見つからない場合は、一度休み、再度イシュー特定の作業を繰り返すこと
プロフェッショナルとは、特別に訓練された技能をもつだけでなく、それをベースに顧客から対価をもらいつつ、意味あるアウトプットを提供する人のことだ。つまり、「バリューのある仕事とは何か」という問いへの答えがわからなければ、生産性など上げようがないのだ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
良いイシューは仮説に深みがある

よいイシューは本質的で、深い仮説があり、答えが出せる問題
例えば、「どちらにすべきか悩んでいる」という問題に対して、単純に答えを出す前に、そもそも「なぜそれに悩んでいるのか」はっきりさせることこそが、良いイシューになり得ます

深い仮説にするには、常識を否定するだけでOK
例えば、機械設計は図面をアウトプットとする仕事だが、「そもそも図面が必要なのか?」を考える
または、2つの異なる者同士で、新しい共通性・関係性を見つけることも仮説の深みにつながります
そして最も重要なのが、答えを出せる仮説であること
答えをだせない、例えば解明できない規則性のようなものは、答えを出せないので取り組む意味がありません
イシューを見極める際には、「仮説が常識を否定するようなものか?」「答えを出せそうか?」を考えましょう
インパクトのある方法でイシューに答えを出せればそれは素晴らしいことだ。だが、大切なのは「答えを出せるかどうか」。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
イシュー特定の情報入手は手早くざっくりと

イシューを特定するための情報収集は、2,3日程度で、おおざっぱにやりましょう
理由は、一定以上集めた後、そこから時間をかけても得られる情報量が比例しないため
また、知りすぎてしまうと、自分の視点を見失うことにもつながります

知りすぎてしまい、行き詰まりを感じた時は、次の手法がおすすめです
- 変数の範囲や数を減らす
- 視覚化する
- ゴールからたどる
- なぜなぜを繰り返す
実際の情報入手では、1次情報を手に入れることが重要です
現場に出向いて自分でやってみることや、現場の人へのインタビューなどで1次情報をざっくりと集めることで、イシュー解決を前進させることができます

上記に加えて、業界や事業の基本情報
特に数字と、現場の人が抱える問題意識は、別途調査しましょう
知らない人に電話でインタビューを申し込むことを英語で「コールドコール」と言うが、これができるようになると生産性は劇的に向上する。あなたがしかるべき会社なり大学・研究所で働いており、相手に「守秘義務に触れることは一切話す必要はなく、そこで聞いた話は内部的検討にしか使われない」といったことをきちんと伝えれば、大半は門戸が開くものだ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
正しいイシューは、成長を早める

イシューが高品質であれば、取り組むことであなたの成長が早くなります
理由は、本当に求められている能力を、伸ばすことに集中できるため
例えば、本当に重要なイシューだけに取り組めれば、そこで本当に求められている力を集中して伸ばすことになります
結果として、無駄なく、効率的に必要な能力を鍛えることができるため、周囲よりも圧倒的に早く成長できます

焦らずに、イシューを見極めてから取り組むことで、楽に、早く成長可能
「イシューからはじめる」世界では「何となく面白いもの」「たぶん大切だと思うもの」などは要らない。「本当にこれは面白い」「本当にこれは大切だ」というイシューだけあればよい。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
イシュー解決に大量の時間と労力を使うのは絶対NG

イシューの見極めをおろそかにして、解決に大量の時間と労力をつぎこむのは、今日でやめましょう
理由は、イシューに関わるすべての活動に対して、悪循環を引き起こすため
例えば、次のような事態につながります
- 大量の時間と労力があると慢心し、イシューの見極めはおろそかにされ、とにかくかたっぱしから作業にあたる
- 多くの時間と労力がかかるので、生産性が下がる
- 作業に疲弊して、仕事の質が下がる

また入社歴が浅い場合、イシューに対するアウトプットの質が劣りがち
そのため、質の低い問題に、低品質な解を出すことになり、本当に無意味な努力になってしまいます
大量の時間と労力をつぎ込むのはやめ、イシューの見極めを重視することで、高い生産性を保つことができます

そして、時間ベースではなく、成果ベースで考えられるようになると、”労働者”から”プロフェッショナル”に近づきます
「手を抜き、時間をかけなくても、一定のアウトプットを保てればいい」という成果ベースで考えることも、生産性向上につながります
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
「とりあえず死ぬまで働いてからものを言え」といった思想は、この「イシューからはじめる」世界では不要であり害悪だ。意味のない仕事を断ち切ることこそが大切なのだ。
イシューを解く手順は分解・検証を繰り返すこと
実際にイシューを解く手順は、次の通り
- イシューを分解する
- ストーリーをつくる
- 分析イメージを作る
- 上2つを書き換え続ける

前提として、イシューは本質的・回答可能な仮説に言語化されていることが必要です
この仮説に対して、高品質な解を作る手順=イシューを解く手順となる
順番に解説していきます
イシューを分解する

最初のイシューは大きな問題であることが多いため、まずはイシューを分解します
理由は、答えを出せるような、小さなサブイシューにするため

分解された個別のイシューを”サブイシュー”と呼びます
分解するときは、本質的な意味を残すことに留意し、漏れなくダブりなく
具体的な分解方法は、問題解決方法として存在する、”5W1H”のようなフレームワークを活用します

課題が新規的すぎて、当てはまる型がない場合は、ゴールから逆算することが有効です
新規のイシュー解決を経験することで、自分独自の視点がある型を持てれば、あなたの強みにすることも可能
イシューを分解することで、取り組みやすい、具体的なサブイシューになり、最終的に大きなイシューの解を導くことができるようになります

サブイシューを出すことができたら、個々の具体的な仮説を立てて、言語化
これにより、必要な分析が明確になります
ストーリーを作る

分解したサブイシューで、イシューを解くためのストーリーを組み立てます

ビジネスにおけるストーリーの典型例は、スライド
ストーリーを作ることで、必要な分析が定まり、説得力をもたせることが可能
説得力があれば、人を動かすことができ、成果物の効果を最大限発揮できます
実際にストーリーを作る方法は、まずはサブイシューを並べるだけでOK

サブイシューの順番は、「最終的に言いたいことが伝わるか?」を意識する
例えば、次のような流れが好ましいです
- 必要な問題意識や前提の共有
- イシュー・サブイシューの明記
- サブイシューに対する検討結果
- 以上をまとめて伝えたい意味
プロジェクトであれば、初期から終盤まで、作成したストーリーは次のように役立ちます
- 初期:
イシュー検討の範囲と内容の明確化 - 中期:
進捗管理とボトルネック特定 - 後期:
プレゼンの仕上げと全体のサマリー
プロジェクト開始直後から使えるため、早々にストーリーを作ることで、プロジェクト全体が円滑になります
3,4か月のプロジェクトならば、1週間以内に作り上げることが理想です
ストーリーを作ることで、プロジェクトを通して、情報共有・分析・方針確認・進捗管理・最終報告を楽に、効率よくこなすことができます
分析イメージを作る

最終的に伝えたいメッセージを、相手に納得してもらうために、必要な分析結果を先に作ってしまいます

ストーリーラインは、言葉だけで構成されます
そのため、最終的なアウトプットの解像度を上げるために、イメージを足してあげます
具体的には、ストーリーラインに沿って、あなたが必要に感じる分析イメージを、必要なだけ作ります

イメージは、サブイシューごとに作ります
各分析イメージごとに、分析手法と情報源も書いておくと、イメージ作成の材料をたどれるので便利
そのため、材料は忘れずにメモしておきましょう
プロジェクト初期段階では、そもそも素材が少ないため、分析結果をイメージするのも難しいことが多いです
一方で、たとえ仮であっても、ほしい分析結果がわかれば、必要な分析手法・代替案を検討可能になります
そのため、プロジェクトの計画を立てる初期段階から、先にイメージを作ることで、ストーリーも非常に作りやすくなります
脳は「異質な差分」を強調して情報処理するように進化してきており、これは脳に置ける近くを考える際の根源的な原理のひとつだ。そしてこれが、分析の設計において明確な対比が必要な理由でもある。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
最初に軸を決める

分析イメージ作りでは、まず適切な比較の”軸”を決めます
理由は、効果的に差異を示すため
そもそも分析とは、2つ以上の事象を比べるための作業
そのため、比較する軸により、意味合いが大きく変化します
例えば、分析ではメジャーな、数字で比較する”定量分析”では、「比較」「構成」「変化」の表現のうち、どれにするかによって、軸は次のように変化します
- 比較:
2つ以上の値を比べるために、「前提条件の整理」が軸 - 構成:
全体における割合を見るために、「何が全体で、何の割合を示すか」が軸 - 変化:
同じものを時間軸で比較するために、「比較対象の整理」が軸

軸の案出しには、差を示すために必要に感じる条件を、付箋に書き出します
その後、関係のありそうな付箋と、似ている付箋をまとめていくと、適切な軸を選択できるようになります
最終的には、すべての軸は「原因と結果で何を比べるのか」という軸に帰結します
そのため、「原因と結果」の軸の上に成り立つ、分析に必要な軸を決めることが、効果的な分析イメージ作成につながります
既知の情報とつなぎようのない情報を提供しても、相手は理解のしようがないのだ。そしてこれが、私たちが分析の設計において、「軸」を重視しなければならない理由でもある。分析における比較の軸は、複数の情報をつなぎ合わせるヨコ糸でありタテ糸となる。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
具体的な数字が入ったイメージを作る

軸を作り終えたら、具体的な数字を当てはめた、分析イメージに仕上げます

最初の方は、数字の精度は大雑把でいいです
ただし、最終的にほしい精度は考えておく必要があります
理由は、ほしい数字が「10」「20」のときに、0.1刻みの数字は不要になるなど、必要な調査方法や負荷が変わることで、分析イメージを作る労力が変わるため
数字が入れば、分析の意味が見えてきます
このとき、「比べた結果、違いがあるかどうか」が明確に表現できていれば、イメージの完成です

”違い”は、「差・変化・パターンのどれか?」、がわかればOK
データ収集方法を決める

イメージが完成すれば、ほしいデータを集める方法を検討します
理由は、ここまでは仮定で成り立っているので、実際にデータが取れなければ、やり直す必要があるため
具体的な方法は、分析イメージの隣に、データの入手方法を書き、その方法が適切か検討します
例えば、ほしい分析イメージのためには、「無作為に集めたデータが必要か」「特定の条件下の全データが必要か」など、考える必要があります
適切なデータ収集の条件を選択することで、イシュー解決に向けて、分析イメージの効果を最大限発揮可能です
「ほしい結果から考える人」にとっては当たり前のことでも、それを理解していない人にとっては驚くようなアプローチになることは多い。既存の手法の限界に踏み込む感じが出てきたら、「イシューからはじめる」という考えで分析の設計ができている可能性が高い。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
とはいえ、常に新しい手法を発見しないと答えを出せない、というのも大変だ。ここでも既存の手法を活用すること、使える手法の意味と限界について正しく理解しておくことが役に立つ。自分の関連する分野でカギとなる手法は一通り知っておいたほうがよい。
イシューを解くときは早く・シンプルに・合格点を目指す

イシュー解決に向けて行動するときは、とにかく早く行動し、シンプルにすることが重要です
理由は、ビジネスにおいては時間・速度・質が求められるため
そのためにも、具体的には次の3つを実行する必要があります
- 制限時間内に価値あるアウトプットを作る
- 価値あるアウトプットに仕上げる
- 質は60%にとどめる
順番に解説していきます
制限時間内に価値あるアウトプットを作る

イシュー解決では、決められた時間の中で、相手にとって価値のあるアウトプットを作る必要があります
理由は、ビジネスに締め切りはつきもので、かつ金銭に見合う価値を、アウトプットに求められるため
これは、次の3つ手段で実現可能
- 優先度が高いサブイシューから取り組む
- サブイシューの仮説は不正解でも良い
- トラブルが発生する前提で行動する
順番に解説していきます
「持っている手札の数」「自分のわざとなっている手法の豊かさ」がバリューを生み出す人としての資質に直接的に関わる
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
優先度が高いサブイシューから取り組む

制限時間内に必要なアウトプットを出すためには、ストーリーの核となるサブイシュー
すなわち、優先順位が高いサブイシューから、手をつけることが重要です

いきなり・考えなしに・手軽なところから、分析や検証をし始めるのはNG
理由は、分解されたサブイシューの中には、元のイシューの前提や根底をひっくり返す可能性を秘めているものがあるため
例えば、機械設計においては、ある部品の強度計算が完了した後に、部品の仕様が変われば、それまでの作業は無意味になります
そのうえ、時間やお金も、実質マイナスです
このような後戻りや混乱を回避するためにも、優先順位を明確にし、優先度が高いものから着手しましょう
サブイシューの仮説は不正解でも良い

サブイシューの仮説検証の結果、正しくなくても良いことを、念頭にいれましょう
というのも、「せっかく立てた仮説が正しくない」とき、人は現実逃避したくなるため

例えば、設計の欠陥があることに気づいたとします
この時、強度計算を無理に通すために、いままでの過程に問題がないことを証明するために苦労する姿勢は、ただの現実逃避です
この場合、納期が遅れるとしても、欠陥を根本から修正するのがベスト
もちろん、現時点では正しいと考えられる仮説をつくることが、大前提です
しかし、良いイシューの場合、その仮説が”正しくない”とわかることにも意義があります
そのため、サブイシューの仮説は、”正しいことを証明する”のではなく、”仮説が正しいか検証する”ことを決して忘れないようにしましょう

フェアに検証する具体的な対策は、注意するしかありません
もっとも対策らしいことは、仮説の検証を人と共有すること
これにより、様々な視点で評価できるため、よりフェアな視点に近づきます
「イシューからはじめる、という姿勢でアウトプットを作成するように」と同じチームの若い人に言うとかなりの確率で誤解が起きる。
それは「自分たちの仮説が正しいと言えることばかり集めてきて、本当に正しいのかどうかという検証をしない」というケースだ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
トラブルが発生する前提で行動する

仕事にトラブルはつきものなので、トラブルが起こる前提で行動します
具体的な予防策は、重大なことはリスクヘッジし、さらに2重・3重に行うこと

リスクヘッジを重ねるほど、最終的なイシューまで解決できる確率が高まります
これを実践するためにも、前述した「強引にでも、プロジェクト初期段階でストーリーラインとイメージ作り」が推奨されています
例えば、「欲しい数字が手に入らない」「自分の知識やスキルで太刀打ちできない」場合は、次のような対策を打つことを検討します
- イシューの対象を分解・構造化することで、ざっくり数字を算出
- 自分以外の人に聞きまくる
- 1週間など期限を決めて自分一人で取り組み、終わらなければ別の手法をどんどん試す
ひとつ注意点として、対策を打つにも、手段や手法の検証には時間がかかります
限りある時間の中で対策できるように、早い段階でリスクヘッジを打つことで、確実にイシューを解き切ることができます

一方で、自分に関わる分野で使えそうな分析手法は、知っておくと仕事が捗ります
そのためにも、あらゆる仕事において、最初の5〜10年は広い範囲での経験やスキル習得に励むと、その後の仕事人生が楽になります
通常、どんなイシューであろうと、分析・検証方法はいくつもあるし、どれかが絶対的に優れているということもさほどない。自分の手法より簡単で時間のかからないアプローチがあれば、当然それでやるべきだ。
この冷徹な判断が僕らを助けてくれる。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
価値あるアウトプットに仕上げる
イシュー解決には、相手の要求する水準以上の価値あるアウトプットが求められます
ビジネスとなると、金銭のやりとりも発生するため、それに見合う価値を生み出す義務が発生するため
価値あるアウトプットに仕上げる方法は、次の3つ
- とにかくシンプルにする
- ストーリーの論理を通す
- 図を作る
順番に解説していきます
とにかくシンプルにする

本質は維持しながら、とにかくシンプルなメッセージにしましょう
理由は、誰に対しても、イシューを的確かつ、内容を理解してもらうため
アウトプットの受け取り手は、複数人・内容をまったく知らない人・自分より上位の人など、様々
です
一方、あなたのアウトプットは、素早く・正しく理解してもらう必要があることが大半です

あなたの成果物を、上司に見てもらう時がもっとも身近な場面になるかと思います
イシューの本質を残しつつ、シンプルなメッセージにすることで、あらゆる人が早く・正しく理解できる、価値あるアウトプットに仕上がります

事前にアウトプットがどのような形で、意味があれば終わるのかをイメージしておくと、無駄なく仕上げることが可能
例えば、顧客がいる場合は、単に資料が完成すれば終わりではなく、お客さんが欲しがっている内容を含んだ成果物を想定します
どんな話をする際にも、受け手は専門知識はもっていないが、基本的な考えや前提、あるいはイシューの共有からはじめ、最終的な結論とその意味するところを伝える、つまりは「的確な伝え方」をすれば必ず理解してくれる存在として信頼する。
「賢いが無知」というのが基本とする受け手の想定だ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
ストーリーの論理を通す

ストーリーの論理が成立しているか確認し、聞き手が理解しやすい流れのストーリーに仕上げます
理由は、アウトプットの説得力を最大限発揮するため

ロジカルシンキングで使われるフレームワークなど、取り入れやすいものを利用しましょう
手段はなんでもよく、とにかく伝わりやすい流れにすることが重要です
ほとんどの人が実行しませんが、実際に口に出す発表のリハーサルがもっとも効果的です

流れや論理構造の矛盾を自覚できます
これは、完成度60%でもよいので、とにかく一度やってみるとよいです
その後に修正を繰り返すことで、早く、高品質なアウトプットに仕上がります
録画して、振り返りまでやれば最高です
ロジカルなストーリーにすることで、アウトプットの完成度を大幅に向上させましょう
図を作る

イシューに沿ったタイトルと、伝えたいメッセージに合わせた、グラフなどの図を準備しましょう
理由は、視覚的にわかりやすいものがあれば、アウトプットをより早く理解できるため

作るのは大変ですが、わかりやすい、意味のある図であることを意識します
また、分析した結果の中の面白いデータだと載せたくなりますが、ストーリーの中で意味がないならば不要です
無駄な情報は載せないことを意識します
実際に図を作るときは、次の3つを意識すると、意味のある図にできます
- コツ1
1つの図では1メッセージ - コツ2
グラフは効果的な比較軸を選び抜く - コツ3
図をメッセージに合わせて磨き上げる
最初は”1図に1メッセージ”だけでも良いので、タイトルに沿った図に、図からわかる事実を一言添えて、意味のある図を作成しましょう

図からわかる一言は、「〜について」のようなものではなく、「〜である」のような言いたいことを明記しましょう
僕が米国での研究時代にお世話になったある教授に言われ、今も大切な教えにしている言葉がある。
「どんな説明もこれ以上できないほど簡単にしろ。それでも人はわからないと言うものだ。そして自分が理解できなければ、それをつくった人間のことをバカだと思うものだ。人は決して自分の頭が悪いなんて思わない」
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
質は60%にとどめる


アウトプットを作る上でもっとも重要なのが、質は60%に抑えて、速度重視で取り組むこと
理由は、停滞は生産性の大敵のため
例えば、完成度60%から90%にする時間は、完成度を0から60%にする時間の倍以上、かかるとされています

機械設計でも同様で、完成度100%の図面にするには、膨大な時間がかかります
一方、完成度60%の概略図のような図面は、さらっと描けるので、見た目の割にすぐに終えることができます
さらに、一つのものをじっくり作るよりも、早く作りアウトプットすることで、PDCAを回す方が、早く・完成度の高いアウトプットを作ることができます
そのためにも、質はそこそこ、とにかく早く出すことを忘れないようにしましょう

イシュー解決においては、後回しにする分析結果を実際に確認するために、早く完成させることに、大きなメリットがあります
というのも、実際の結果を見ないことには、ストーリーや図を確定できないため
結果を踏まえて、全体を修正するのが、締め切りギリギリになることを防いでくれます
数字をこねくり回さず、手早くまとめることが大切だ。1回ごとの完成度よりも取り組む回数(回転数)を大切にする。また、90%以上の完成度を目指せば、通常は途方もなく時間がかかる。そのレベルはビジネスではもちろん、研究論文でも要求されることはまずない。そういう視点で「受け手にとっての十分なレベル」を自分のなかで理解し、「やり過ぎない」ように意識することが大切だ。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
「スピード」というものがここでは決定的に重要になってくる。この「完成度よりも回転率」「エレガンスよりもスピード」という姿勢を実践することで、最終的に使いものになる、受け手にとって価値のあるアウトプットを軽快に生み出すことができる。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」
まとめ:イシューの見極めからはじめて、楽に早く成果を上げる

- 現状解く必要があり、解くことができる高品質なイシューを見極めることを妥協しない
- イシューを分解してロジカルなストーリーと分析イメージを早く作る
- とにかく早くシンプルなアウトプットにして、60%程度の質で完成させて改善を繰り返す
私たちは仕事でも家庭でも、常に問題に囲まれており、目の前の問題から考えなしに処理しがちです
しかし、本当の意味で問題に対処するには、本当に解く必要がある・解くことができる”イシュー”を見極めることこそが、問題の山を切り開く鍵であることを、本書が教えてくれます
イシューを見極める重要性と、見極め方を、『イシューからはじめよ』を読むことで、学んでみてはいかがでしょうか
- なやむ時間を減らすため、10分タイマーを買う
- 言語化の練習のために、ブログを続ける
- あらゆるものの質は60%に抑えて、早く出して改善を繰り返す
この本は、知的生産の現場において空気、常識、権威で判断することや、努力すればなんとかなるという根性論を終わらせ、本当に向き合うべき課題に取り組む人が増えることを期待して書いた。
イシューからはじめよ[改訂版]-知的生産の「シンプルな本質」


